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名古屋家庭裁判所 昭和33年(家)47号 審判

国籍 アメリカ合衆国オクラホマ州住所名古屋市

申立人 フランク・イー・クリーソン(仮名)

国籍 住所右に同じ

申立人 マーシー・ビー・クリーソン(仮名)

(本籍岐阜県住所申立人等に同じ)

未成年者 平島圧一(仮名)

主文

申立人等が未成年者を養子とすることを許可する。

理由

家庭裁判所調査官の作成に係る調査報告書の記載及び申立人等及び丹羽湛海の陳述を綜合すると、申立人フランクは米国空軍々曹で現在愛知県○○憲兵中隊に勤務して月収三百五十弗を得ており資産として現金、預金等四千五百二十五弗を有しており、近々の内に米本国へ帰還する予定であるが帰国後も現在と同額程度の収入を得られる見込であり、申立人マーシーは右フランクの妻である。申立人等はその間に五才及び三才の男児があるが未成年者の身の上に同情して同人を養子とせんとするに至つたもので、すでに昭和三十二年十二月○○日以来手許に引取り養育中であり、右帰国の際には未成年者を伴い帰り将来は同人の能力に応じて大学教育を受けさせる意向であること、並に未成年者の後見人(愛知県児童相談所長)も未成年者が申立人等の養子となることに同意しており、父母共に詳かでなく身寄りのない未成年者にとつて申立人等の養子となることはその利益にかなうものであることが夫々認められる。

ところで本件の養子縁組の要件については法例第十九条に依り養親たるべき申立人等については米国法に従い、養子たるべき未成年者については日本の法律に依るべきところ、米国々際私法の原則に従えば、養子又は養親の住所のある法廷地の法律によることになつているので法例第二十九条に所謂反致の法則によつて日本の法律に則るべきものであるが、前述のとおり本件の養子縁組についてはその要件に欠けるところがないからこれを許容すべきものと認め、主文のとおり審判する。

(家事審判官 松村勝俊)

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